Author name: Mana Watanabe

Mana Watanabe

西安の言葉遣いの特徴と日本との歴史上の関わり

 7月に入った。西安での留学も今月で最後になった。今月分のポートフォリオでは、西安での約1年間の学びを振り返る形でまとめていきたい。私はテーマとして2つ掲げて、この2つについて毎月まとめてきた。1つは、西安の言葉遣いの特徴、もう1つは、日本と西安の歴史的な関わりだ。まずこのテーマについて、反省したい点がある。  まず1つ目の西安の言葉遣いの特徴というテーマだが、中国語初学者には難しかったと感じたことだ。というのも普通話をすでにある程度マスター、理解をしていて、その上でこの地域の音の発音はこういう特徴があるのだなという感じで掴んでいけたら理想だったが、そもそも私のレベルがそのスタートラインにも立てていなかった。もちろん私でも西安の特徴的な発音だなあと気づくことができたポイントはいくつかあったが、普通話というものをある程度マスターした状態であれば、気づくことも増えていたかもしれないと感じている。しかしながらこのテーマを掲げたおかげで、発音という点により注目して現地の人の話を聞くことができたとも思っている。  もう1つのテーマについては、今振り返って考えてみると、特に遣唐使などの使節を送っていた唐の時代という1つの時代に偏る傾向にあったと思う。それ以外にも指摘できる点はさまざまあるのだろうが、やはり唐の時代の関わりがそれほど深いものだったのだろうと思う。このテーマは少し大きかったが、だからこそさまざまその時に気になったことを書くことができた。今後西安に留学に行く人がいたら最初に唐の時代に絞って日本との関わりを調べてみても良いのかなと思っている。  今月の学びについて最後に少しだけまとめておきたい。西安の言葉遣いの特徴としては、今月も先月に引き続き声調の変化を見つけた。それは、西安といえば一番有名な「兵馬俑」の声調についてで、普通話だったら、第一声→第三声→第三声になるのだが、西安の人が発音すると第二声→第一声→第三声になるらしい。出かけた時に耳にして違和感を覚え、寮に帰って来てからおばさんにもう一度確認した結果、これを教えてもらった。具体的に第〇声が第〇声に変わるというのがあるのではと思って尋ねたのだが、寮のおばさん曰く「適当!(随便!)」とのことだった。以前も気になって調べたことがあったがその時ははっきりせず、それを現地の人に言わせるとまさかの「適当」という一言で片づけられると思っていなかったので、個人的にとても面白いなあと感じた。  西安と日本とのつながりについては、白居易の『長恨歌』を挙げたい。6月半ばに『長恨歌』をもとに華清池でやっている演劇を見に行った。この詩は唐代の詩人白居易が、唐の7代皇帝玄宗と楊貴妃とのラブロマンスについて詠んだ長編の詩である。演劇を観に行く前に調べていた中で、知ったことがある。それは、この詩が、紫式部の書いた『源氏物語』に大きな影響を与えているということだ。特に『源氏物語』の「桐壺巻」での設定が、玄宗と楊貴妃の関係を下敷きにしていると考えられている。もちろん、この二つの物語は、完全に同じではなく、日本の文化を踏まえたり、女性の視点から語られたりする等のさまざまな工夫が加えられている。しかしながら、ここ西安が舞台となった『長恨歌』が『源氏物語』に大きな影響を与えているということが興味深いと思うと同時に、その視点を持って『源氏物語』を読んでみたいと感じた。今後両者の関係について調べてみるのも楽しそうだと思う。  最後に、約一年間の西安での留学が間もなく終わります。たくさんの方に応援していただき、支えていただいた一年でした。おかげさまでとても充実した良い経験をさせていただきました。本当にありがとうございました。

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西安の言葉遣いの特徴と日本との歴史上の関係

 西安の言葉遣いの特徴として、声調にやはり特徴があるなと思った。例えば、「階段」を意味する“台阶”、本来であれば声調は2声+1声が標準であるが、以前西安の人の話を聞いた時に違和感を覚えた。後で考えてみると、1声が1声になっていなかったような、、と思った。これに関しては、西安話では、1声が3声になることが多いということを踏まえると、彼らは3声で発音していたため、何となく変だなあと感じたと考えると納得がいく。他にも「治す」という意味の“治”の声調は4声が標準だが、中医の授業を受けている時、先生はずっと2声で話しているように聞こえた。その先生は西安市ではなく、宝鶏の方だそうで、西安とはまた違う形での声調の違いがあった。単語としては特別なものを使っていなくても、声調が標準とは少し違っていることで、その単語をその単語であると認識できず、聞こえないという状況になるのだと思う。中国語は特に声調の違いで、単語の意味が変わってしまう言語だ。そのため地方による声調の違いは、外部の人が来てコミュニケーションを取るにあたってなかなか難しい問題であり、中国語を学ぶ外国人にとっても同様に課題となることだと改めて感じた。  日本と西安の歴史的な関わりについては、今回は則天武后という人物をキーワードとして考察していきたいと思う。キーワードに彼女を選んだ理由は、5月に陝西省乾県にある彼女の墓に行き、彼女はいろいろな意味ですごい人であると感じ、興味を持ったからだ。則天武后は、中国の歴史上唯一の女帝であり、唐の時代の3代皇帝の高宗の妻である。彼女が科挙制度に詩賦を置いたことで、この時代の唐ではたくさんの詩人が活躍した。また、則天文字という独自の文字を作ったことでも有名である。彼女については、82歳まで生きたことや、皇帝にのし上がるまでの過程などたくさんのエピソードが残っているが、今回は日本との関係で二点紹介したい。 一つ目は、日本史で習う663年の日本と百済の連合軍VS唐と新羅の連合軍の白村江の戦いで日本は負けるのだが、この時実は唐で政治を執っていたのは則天武后であるということだ。戦いについては学ぶのに対して、相手国の指揮を誰が執っていたかは私自身も習ったことが無く驚きだった。ちなみに則天武后が即位したのは690年中国では後にも先にもいない女帝だが、同じころ日本で即位したのは持統天皇であり、どちらも女性という点で共通している。中国では、女帝は則天武后たった一人だが、日本では、卑弥呼をはじめ、斉明天皇や持統天皇など女性が政治を動かすことがよくある国なのだということも今回改めて認識できた。 二つ目は、水戸黄門で知られている徳川光圀の圀の字が実は則天武后が作った則天文字であるということだ。この字は国の意味である。口の字の中には八方を入れることで、天下統一や国の繁栄、様々な面で大きな影響力を持つ等といった意味が込められている。なぜ徳川光圀の名前に則天文字を採用したかについては、調べてみたが、資料が残っていないようで、さまざまな人が仮説を立てているとのことだった。江戸時代の有名な人物の名前に則天武后が作った漢字が使われているというのが面白いと感じるとともに、なぜなのだろうと気になった。

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西安の言葉遣いの特徴と日本との歴史上の関わり

 西安の言葉遣いの特徴として今月再度認識したことは、西安言葉遣いはやはり儿化が比較的多いということである。今学期の授業を担当してくれている先生のほとんどが西安出身の方なのだが、先生たちの中国語を聞いていて、儿化がよく起こるように感じる。先生によっては、教科書で儿化が起こっていないところに関しても、一般的に儿化して発音することが多いと儿化を教えてくれる。私の友達に青岛出身の友達がいるのだが、その子と話している時にあまり儿化が起こらないと感じ、あまり儿化しないよね?と尋ねたところ、本人も東北出身の友達は儿化が多いけれど、私は普通ではないかという見解だった。以前台湾に留学してした先輩のお話を聞いたところ、台湾では教科書で儿化が起こっていても、それをなくして練習するとのことだった。西安では教科書の儿化を消すどころか、儿化を加えて授業を行っているという点からも、やはり儿化が多い地域なのかなと感じた。  言葉遣いとは離れてしまうが、西安関連として留学していてよくあることについて書きたい。私自身道を歩いていると道を尋ねられたり、スーパーで買い物をしていると商品について尋ねられたりすることが割とある。中国全体の傾向なのかもしれないが、中国では日本に比べて自分で調べるよりも先に周囲にいる人に尋ねることが多いと思う。学校の敷地内を歩いているとき門の方向について今日も尋ねられた。また、スーパーでは多分老眼が原因で小さい字が見えにくいから、商品を一緒に探して欲しいと言われたことが何回かある。日本だったら、自分で携帯を使って調べたり、店員さんを探しに行って助けてもらったりする部分な気がするが、中国では違うのだなと感じている。尋ねられること自体は困らないのだが、時々自分の中国語の不足で助けられないことや難しいこともある。この点から日本との文化の違いを感じつつ、今後も自分のできることをしていきたいと思う。  日本との歴史上の関わりについて今月は、山上憶良という人物の作品について書いていきたい。彼は702年に遣唐使としてここ西安へ来て、大雁塔などを目にしたとされている。日本と西安とのつながりとして彼を取り上げた理由は、彼の作品には、遣唐使としての経験がいくつか反映されていることを知ったからだ。彼は、遣唐使として中国へ渡ったのち、再び日本に戻りいくつかの作品を残している。万葉集にも掲載されているのだが、有名な作品には、「貧窮問答歌」や「子らを思ふ歌」、「好去好来歌」、「老いらくの歌」がある。  渡航前の彼の作品は現存していないため、帰国後の作品のみ参照することにはなるが、彼の作品の中にはたくさん中国の影響を受けたものがあるとされる。具体的には、儒教的な思想や対句表現、漢語を多用した表現や仏教的思想などだ。彼の作品が収められている万葉集について言うと、一般的には自然美や恋愛に詠んだもの、貴族の雅などについて取り上げられることが多い中での彼の視点は他と異なっており、やはり西安に渡ったことが大きな影響を与えていることを感じさせる。遣唐使としてこれまでに空海や阿倍仲麻呂について取り上げたことはあったが、山上憶良も視点として面白いなと感じた。今回調べていく中で、「貧窮問答歌」と杜甫の「三吏」「三別」のテーマが類似していることも知った。今後はこの視点を取り上げるのも楽しそうだと感じた。  先月のレポート内容にあった西安の花の写真を載せておきます。

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西安の言葉遣いの特徴と日本との歴史上の関わり

西安の言葉遣いの特徴について、新しく気がついたことがあったので挙げてみる。“没事儿”(気にしないで、どういたしまして等)の言葉の発音が、普通話と違ってsの音が強いということである。

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西安の言葉遣いについて、また日本との歴史上の関わり

この半年間西安の言葉遣いの特徴についてまとめてきたが、大方書き尽くしてしまった。そのため、次のものが見つかるまでは、私の祖母(中国人、吉林省出在日23年)と話していて気がついたことをまとめていこうと思う。

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西安の言葉遣いについて、また日本との歴史上の関わり

儿化について以前も取り上げたことがあったが、今月はまた面白い発見があった。それは、同じ漢字で同じ物を指しているのにも関わらず、儿化が起こるものと儿化が起こらないものがあるということだ。例としては、门(門)という字を挙げることができる。外出するという意味で使う時は、出门儿と儿化が起こるのだが、玄関の鍵を閉める時は、插门という言葉の時は儿を付けないというものである。これについては、门は门で同じなのだからどちらにも儿化が起こっても良いのではないかと考えたのだが、そうではないようだった。習慣と言ったらいいのだろうか、そういうものだという暗黙のルールが言葉の中に存在しているのではないかと感じた。

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西安の言葉遣いについて、また日本との歴史上の関わり

今月の学びについて、まず西安の言葉遣いについて記述する。寮母さんから聞いた話によると、陝西省の方言はやはり北京方言に近く、実際に陝西省の方言を話す人々も北京の方言であれば聞いて理解することができるそうだ。

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西安の言葉遣いについて、また日本との歴史上の関わり

先月に引き続き、西安の人の儿化が起こる単語の記録が増えた。“公园”を“公园儿”と言うこと、“味”を“味儿”と言うことだ。前者は公園で出会った方とお話をしている時に西安の名所の話をしていたら、この単語は常に儿化が起こっていた。

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中国人とりわけ西安の人々の言葉遣いについて

西安に留学して約10日が経過し,西安での生活にも少しずつ慣れて来た。現地の人と話す機会があり、気づいたことがいくつかある。 来西安十天多了,我已经渐渐地习惯了西安的生话。有机会聊天儿西安的人,我觉得几个事情。 1つ目は、教科書や授業で習った言い回しとは違った言い回しで質問をされるということだ。

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中国人とりわけ西安の人々の言葉遣いについて

 今月21日から中国陝西省西安市にある西北大学に一年交換留学に行く。一年間の留学で私は、中国人とりわけ西安の人々の言葉遣いについて知りたいと考えている。中国の北方方言で語尾にrがつくという現象はよく知られているが、一説には中国人キャラクターの「~アルヨ」に関連しているというものがある。先日私が発表のために調べた際には、この説が否定されていたが、このような役割語が与えられた背景について留学を通して何かヒントを得ることができれば良いと考えているからだ。具体的には、西安の人々はどのような言葉においてr化するかなどを知りたいと検討している。また、西北大学から来た留学生と話をした際には、西安のお年寄りの訛りは難しいということを言っていた。1年間の間で関わる機会があれば、西安に住み続けているお年寄りと会話をしてたくさんの学びを得たい。私は太極拳が好きなので、機会を見つけて公園で誰かと一緒に太極拳もしたい。以上より、現時点での留学のテーマとしては、中国人とりわけ西安の人々の言葉遣いについてとする。

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